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閲覧注意

このページには、性暴力が人の心とからだ、その後の人生に与える影響について書かれています。被害の場面の描写はありませんが、つらい気持ちを思い出すことがあります。
無理に読まなくて大丈夫です。つらくなったら、いつでも読むのをやめてください。

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加害をしない・させないために

⏱ 読む時間の目安:約10分

このページは、性暴力を防ぐための法律や考え方について書いています。被害の場面の描写はしていません。それでも、性暴力の話題でつらくなったら、途中で閉じてかまいません。被害の相談は、ワンストップ支援センター 📞 #8891、警察の性犯罪被害相談電話 📞 #8103、SNS相談 Cure time(毎日17〜21時)でできます。ページの最後にもまとめています。

前の回「性犯罪はなぜ許されないのか」では、性暴力が、被害を受けた人の心と体、その後の人生にどれほど大きな影響を与えるかを見てきました。性暴力をなくすいちばん確かな方法は、加害をしないこと、そして周りが加害をさせないことです。この回では、次のことをまとめます。日本の法律、よくある思い込み、画像による加害、周りの人ができること、そして「自分が加害をしてしまいそうで不安な人」の相談先です。

出発点はシンプルです。性的な行為には、おたがいが自分の気持ちで決めた同意が必要です。相手が同意していない、または同意できない状態なら、その行為はしない。それだけで防げる被害があります。

日本の法律 ― 2023年の改正で、犯罪と罰を定めた法律(刑法)の何が変わったか

2023年7月13日から、性犯罪についての決まりが大きく変わりました(法務省, 2023a)。主なポイントは次のとおりです。

法務省は、時効を延ばした理由を次のように挙げています。性犯罪は、恥ずかしさや自分を責める気持ちから、被害を打ち明けにくいものです。周りも気づきにくいため、被害が表に出にくいからです(法務省, 2023a)。

刑罰も重いものです。不同意性交等罪は、5年以上の、期間を決めて刑務所に入れる刑(有期拘禁刑)です。不同意わいせつ罪は、6月以上10年以下の拘禁刑とされています(高知県, 2023)。性的な姿の撮影は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。撮影した画像を、だれとも決めずに大勢の人へ渡したり(不特定多数への提供)、公開したりすると、5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金などになります(法務省, 2023b)。

2024年の1年間に警察が把握した件数は、不同意性交等が3,936件、不同意わいせつが6,992件、性的姿態撮影等処罰法違反が8,436件でした(法務省, 2025)。これは届け出があった件数です。前の回で見たように、だれにも言えずにいる被害は、さらに多いと考えられます。

加害の責任は、刑罰だけではありません。被害を受けた人は、加害をした人に、受けた損害をお金でつぐなうよう求めること(損害賠償の請求)ができます。警察庁も、被害者向けに、その手続きを手伝ってくれるところを案内しています(警察庁, 犯罪被害者等施策)。

よくある思い込みを正す ― 「レイプ神話」

性暴力については、まちがった思い込みがあります。被害を受けた人を責め、加害をした人の責任を軽くするような思い込みです。研究では、これを「レイプ神話」と呼んできました(Payne ら, 1999)。大学生の男性を対象にした研究を、たくさんまとめた分析(メタ分析)があります。そこでは、こうした思い込みを受け入れていることや、周りの仲間に性暴力を認める雰囲気があることが、加害をしやすくなることと関係する要因の一つでした(Spencer ら, 2022)。思い込みを正すことは、加害を防ぐことにつながります。

迷ったら、確かめる。相手がはっきり「したい」と言える状態であること、そして途中でもやめられる関係であることが、同意の土台です。確かめられないとき、相手の反応が分からないときは、しない、が答えです。

画像による加害も、重大な被害を生む

性暴力は、体に触れる行為だけではありません。同意のない撮影、画像の送りつけ、交際中に撮った画像を別れたあとに広めることも、深刻な被害を生みます。文章や画像を作るAI(生成AI)で、人の画像を性的に作り変えること(ディープフェイク)も同じです。アメリカの調査では、女性の4人に1人以上、男性の6人に1人が、こうしたネットや機器の技術を使った性暴力を経験していました(CDC, 2025)。

日本では、撮影や、その画像を人に渡すことは、性的姿態撮影等処罰法で罰せられます。元交際相手などの性的な画像を、本人の同意なく広めることは、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」で罰せられます。警察庁などは、生成AIで人の画像を性的に作り変えてSNSで共有することが、犯罪や人権を傷つけること(人権侵害)につながるおそれがあると注意を呼びかけています。そして、一度広まった画像は二度と消せないと伝えています(警察庁ほか, 2025)。「冗談のつもり」「仲間内だけ」は、被害の大きさを少しも減らしません。

画像を広められてしまったときは、法務局の人権相談で、削除の依頼について助言や対応を受けられます。民間のセーフラインでも、削除の依頼を受け付けています(内閣府男女共同参画局, 相談窓口)。

周りの人ができること ― 第三者介入

性暴力が起きそうな場面に居合わせたとき、周りの人の小さな行動が、被害を防ぐきっかけになることがあります。このように、その場にいる周りの人が間に入ることを「第三者介入(バイスタンダー介入)」といいます。

いちばん大切なのは、自分の安全も守ることです。危険を感じたら、一人で立ち向かわず、110番などで助けを呼んでください。

大学生や高校生向けの、第三者介入のプログラムを調べた研究のまとめ(システマティックレビュー)があります。決まった手順で研究を集めて調べたものです。それによると、プログラムを受けた人は、実際に間に入る行動が増えていました。一方で、加害そのものを減らす効果は確かめられていません。知識や考え方への効果も、研究によってばらばらでした(Kettrey ら, 2019)。周りの行動は大切な支えですが、それだけで性暴力がなくなるわけではありません。加害をしない一人ひとりの選択と、社会全体の取り組みが、両方とも必要です。

「自分が加害をしてしまいそう」と不安なときは

性的な衝動をおさえられないかもしれない、同じことをくり返してしまいそうだ、と不安を感じている人もいるかもしれません。その不安に気づけたことは、被害を生まないための大切な一歩です。ひとりで抱えず、行動に移す前に専門家に相談してください。

相談することは、弱さではありません。だれかを傷つける前に助けを求めることは、自分と、まだ出会っていないだれかの人生を守る選択です。

相談先

性暴力の被害:性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 📞 #8891(通話料無料。NTTひかり電話からは 📞 0120-8891-77。24時間受付、または受付時間外は夜間休日コールセンターで対応。一部のセンターを除く)

警察に相談したいとき:性犯罪被害相談電話 📞 #8103(ハートさん。24時間、通話料無料)。身の危険が迫っているときは110番へ。

電話が難しいとき:性暴力に関するSNS相談 Cure time(キュアタイム、https://curetime.jp/。毎日17〜21時。名前を明かさずに(匿名で)相談できます)

性的な画像を広められたとき:法務局の人権相談、セーフライン(削除依頼の受付)。内閣府「性犯罪・性暴力相談窓口」のページにまとめられています。

加害をしてしまいそうで不安なとき:お住まいの地域の精神保健福祉センター(厚生労働省「全国の精神保健福祉センター」で連絡先を確認できます)

ほかの窓口も含めた一覧は、別ページ「相談先・カウンセラーの案内」にまとめています。番号や受付時間は変わることがあるので、公式ページもあわせて確認してください(2026年9月時点で確認)。

参考にした資料