18歳未満の方は閲覧できません

このサイトは成人向けの性の健康の情報と、商品の紹介を含みます。

18歳未満です(退出)
セックスの達人 性は、タブーじゃない。

当サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。紹介している商品のリンクから購入されると、運営者に報酬が支払われることがあります。医療の診断に代わるものではありません。

← 現代社会と性

⚠️

閲覧注意

このページには、性暴力が人の心とからだ、その後の人生に与える影響について書かれています。被害の場面の描写はありませんが、つらい気持ちを思い出すことがあります。
無理に読まなくて大丈夫です。つらくなったら、いつでも読むのをやめてください。

相談先を見る

性犯罪はなぜ許されないのか ― 被害を受けた人の心と体、その後の人生

⏱ 読む時間の目安:約10分

このページは、性暴力が心と体、その後の暮らしに与える影響について書いています。場面の描写はしていません。それでも、読んでいてつらくなったら、途中で閉じてかまいません。いま話を聞いてほしいときは、ワンストップ支援センター 📞 #8891、警察の性犯罪被害相談電話 📞 #8103、SNS相談 Cure time(毎日17〜21時)に相談できます。くわしくはページの最後にまとめています。

このサイトは、性をタブーにせず、正しい知識と、安心して楽しむための情報を届けることを大切にしています。そして同じくらいはっきりと、同意のない性的な行為と性暴力は決して許されない、という立場をとっています。性が豊かなものになるのは、おたがいが望み、おたがいが安心できるときだけだからです。

この回では、「なぜ許されないのか」を、被害を受けた人の現実から考えます。先に一つだけ、とても大事なことをお伝えします。性暴力の責任は、100%、加害をした人にあります。被害を受けた人に落ち度はありません。

同意のない性的な行為は、なぜ人としての権利を深く傷つけること(重大な人権侵害)なのか

内閣府は、性暴力について「あなたのからだとこころは、あなた自身のものです。いつ、どこで、だれと、どのような性的な関係を持つかは、あなたが決めることができます」と説明しています。そして、同意のない性的な行為は性暴力であり、重大な人権侵害だとしています(内閣府男女共同参画局, 2023)。

自分の体に、だれが、いつ、どこまで触れてよいか。それを決める権利は、その人だけのものです。これを「自分のからだのことは自分で決める権利(からだの自己決定権)」と呼びます。同意のない性的な行為は、この権利を踏みにじり、その人の尊厳そのものを傷つけます。内閣府の同じ資料は、次のようにも説明しています。相手と対等な関係でなかったり、嫌だと言えない状況だったりしたなら、本当の同意があったことにはなりません。また、一つの行為に同意しても、ほかの行為に同意したことにはなりません。

性暴力は、見知らぬ人からだけ起きるものではありません。内閣府の2023年度の調査では、同意のない性交などの被害(不同意性交等の被害)にあったことがある人は、答えた人全体の4.7%(女性8.1%、男性0.7%)でした。加害者は「交際相手」「元交際相手」がそれぞれ約2割で、「まったく知らない人」は約1割でした(内閣府男女共同参画局, 2024)。多くの被害は、信頼していた人や身近な人から起きています。

心への影響 ― 「自分のせい」ではない

性暴力は、心に深い傷を残すことがあります。1970〜2014年の研究をまとめた大規模な分析(メタ分析)があります。それによると、性暴力の被害は、調べられたすべての心の病気(気分が長く落ちこむ病気のうつ病、不安が強く続く不安症など)が起こりやすくなることと関係していました。とくに、つらい体験のあと、長く心と体に苦しさが続く状態(心的外傷後ストレス障害、PTSD)と、死にたい気持ちとの関係が大きいと報告されています(Dworkin ら, 2017)。

被害のあとの1年間を追いかけた研究をまとめた、別のメタ分析もあります。被害から1か月の時点で約75%、12か月の時点で約41%の人が、PTSDと判断される目安(診断基準)に当てはまっていました(Dworkin ら, 2021)。同じ研究では、症状がよくなった人の多くは、最初の3か月のあいだによくなっていたことも分かっています。つまり、つらさはとても大きい一方で、時間とともに和らいでいく人も多いということです。

PTSDの目安に当てはまった人(性暴力の被害のあと)被害から1か月約75%被害から12か月約41%
出典:Dworkin ら(2021)。被害のあとの1年間を追いかけた研究をまとめたメタ分析。症状がよくなった人の多くは、最初の3か月のあいだによくなっていました。

よくみられる心の変化には、次のようなものがあります。どれも、つらい出来事を経験した人の心に起こる自然な反応です(内閣府男女共同参画局, 2023)。

抵抗できなかったのは、体の自然な反応

「なぜ逃げなかったの」「なぜ抵抗しなかったの」という言葉は、被害を受けた人を深く傷つけます。けれど研究では、強い恐怖に直面したとき、人の体が本人の意思とは関係なく、しばらく動かなくなることがあると分かっています。これは体が固まってしまう反応で、「凍りつき(トニック・イモビリティ)」と呼ばれます。動物にも見られる反応です。

スウェーデンで行われた研究があります。被害から1か月以内に、専門の救急の外来を受診した女性298人を調べたものです。その結果、70%が被害のあいだにはっきりとした凍りつきを、48%がとても強い凍りつきを経験していました(Möller ら, 2017)。研究チームは、凍りつきは「よくある反応」であり、法律や医療の場でこの知識が大切だと述べています。

日本でも2023年に、犯罪と罰を定めた法律(刑法)が改正されました。予想外のことが起きて、こわさや驚きで動けなくなる、いわゆる「フリーズ」の状態があります。これが、同意しない気持ちを表したり、最後まで通したりできなくなる原因の一つとして、法律に書き込まれました(法務省, 2023)。

抵抗できなかった、声が出なかった、体が動かなかった、その場では相手に合わせてしまった、すぐにはだれにも言えなかった。どれも、危険から身を守ろうとする心と体の自然な反応です。それは同意ではなく、あなたの落ち度でもありません。

体への影響と、被害のあとにできること

世界保健機関(WHO)は、性暴力を含む女性への暴力が、さまざまな健康の問題と関わっていると説明しています。けが、望まない妊娠、性行為でうつる病気(性感染症。HIVを含む)、婦人科の不調などです(WHO, 2026)。アメリカの疾病対策センター(CDC)も、あざなどのけがや性感染症といった体への影響に加えて、長く続く体と心の不調とも関係すると述べています(CDC, 2025)。

もし被害にあったときは、ワンストップ支援センター(📞 #8891)に相談できます。ここでは、本人の気持ちを大切にしながら、いろいろな手伝いをしてくれます。たとえば、望まない妊娠を防ぐための薬(緊急避妊薬)を出してもらうことや、性感染症の検査、証拠を採っておくことなどの医療につなぐこと。病院や警察への付き添い、弁護士の紹介、カウンセリングなどです(内閣府男女共同参画局, 相談窓口)。

ただ、これは「できたら」の話です。すぐに体を洗った、時間がたってしまった、証拠があるか分からない。そんな場合でも、まったく問題ありません。内閣府も、72時間以上たっていても相談できると案内しています(内閣府男女共同参画局, 2023)。どの時点からでも、支えを受けることができます。

その後の人生への影響 ― 語れない苦しさと、周りの言葉

性暴力の影響は、心と体だけでなく、学業、仕事、人間関係、お金にも広がることがあります。被害を受けた人に話を聞いた調査があります。そこでは、仕事を休む、仕事がはかどらなくなる、仕事を失う、働けなくなるといったことが重なり、長いあいだ収入に影響する様子が報告されています(Loya, 2015)。アメリカでは、被害者一人あたりが一生のあいだに負うお金の負担(生涯の経済的負担。医療費や、働けなくなったことによる損失など)が、約12万ドルと見積もられています(Peterson ら, 2017)。

そして、多くの人が被害をだれにも言えずにいます。内閣府の調査では、不同意性交等の被害を受けた人の55.7%が、どこにも、だれにも相談していませんでした(内閣府男女共同参画局, 2024)。相談しなかった理由や、相談まで5年以上かかった理由として、いちばん多かったのは「恥ずかしくてだれにも言えなかった」(45.7%)でした。「相談してもむだだと思った」「自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思った」「そのことについて思い出したくなかった」も、それぞれ約3割でした。相談できた人でも、相談まで10年以上かかった人が約2割いました。

話すことをためらわせる大きな理由の一つが「二次被害」です。打ち明けたときに疑われたり、責められたり、軽く扱われたりして、さらに傷つくことをいいます。内閣府は「そんな服を着ていたから」「本当に嫌なら抵抗できたはず」といった言葉を、二次被害につながる例として挙げています(内閣府男女共同参画局, 2024 医療機関向け資料)。622人の女性を対象にした研究でも、打ち明けたときに否定的な反応を受けることは、PTSDや気分の落ちこみ(うつ)などの心の不調の強さと関係していました(Hakimi ら, 2016)。

それでも、回復していける

被害を受けたあとの道のりは、人によってさまざまです。それでも、支えを受けながら、少しずつ自分らしい暮らしを取り戻していく人はたくさんいます。

心の回復を助ける方法として、心の深い傷(トラウマ)に焦点を当てた、専門家との対話などによる心の治療(心理療法)が研究されています。たとえば、認知行動療法、持続エクスポージャー療法、認知処理療法、EMDRなどです。2023年に、信頼度の高い方法でたくさんの研究をまとめた報告(コクランレビュー)が出ました。大人になってから性暴力の被害を受けた人を対象にした研究を集めたものです。そこでは、こうした心と暮らしを支える支援(心理社会的な支援)を受けた人は、受けなかった人に比べて、PTSDやうつの症状が軽くなっている可能性が示されました。ただし、もとになった研究の質を考えると、この結果の確かさはまだ「低い」と評価されています(O'Doherty ら, 2023)。合う方法は人によって違うので、専門家と相談しながら選ぶことが大切です。ワンストップ支援センターでは、精神科の受診やカウンセリングにつなぐ手伝いもしてくれます。

周りの人ができることも、たくさんあります。内閣府は、家族や友人が被害を打ち明けられたときに、次のことを大切にするよう呼びかけています(内閣府男女共同参画局, 2023)。

被害は、その人の価値を少しも変えません。起きたことはあなたのせいではなく、あなたは今も、これからも、大切にされるべき人です。話したくなったときに、話せる場所があります。

性暴力をなくすためには、加害をしない、させないことが何よりも大切です。次の回「加害をしない・させないために」では、法律、よくある思い込み、周りの人ができることを取り上げます。

相談先

性暴力の被害(すぐに相談したいとき):性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター 📞 #8891(通話料無料。NTTひかり電話からは 📞 0120-8891-77。24時間受付、または受付時間外は夜間休日コールセンターで対応。一部のセンターを除く)

警察に相談したいとき:性犯罪被害相談電話 📞 #8103(ハートさん。24時間、通話料無料。電話をかけた地域の都道府県警察につながります)。身の危険が迫っているときは110番へ。

電話が難しいとき:性暴力に関するSNS相談 Cure time(キュアタイム、https://curetime.jp/。毎日17〜21時。名前を明かさずに(匿名で)、年齢・性別を問わず相談できます。外国語にも対応)

法律や弁護士のこと:法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(平日9〜21時、土曜9〜17時。祝日・年末年始を除く)

ほかの窓口も含めた一覧は、別ページ「相談先・カウンセラーの案内」にまとめています。番号や受付時間は変わることがあるので、公式ページもあわせて確認してください(2026年9月時点で確認)。

参考にした資料